緋襷の進化・・

緋色に発色したラインが襷(たすき)をかけているように見える事からついた名前です。
緋色の部分は稲わらの跡で、備前の土との化学変化によるものです。
この緋襷を取るためには、稲わらのほかに灰がかぶらないようにする『サヤ』と呼ばれる入れ物が必要になります。
上の画像のように大きな筒状のサヤに稲わらを巻いた備前焼を入れて焼成するわけです。

この緋襷という景色は、元々偶然によるものだったんですね。
昔は一度に焼く備前焼の量を増やす為に、大きな甕などの中にも入れて焼いていました。
その際、作品同士がくっつかないようにと稲わらを巻いて入れていたんです。
それが偶然にも緋色の襷をかけたような景色になったようです。
当時の陶工さんたちは、ただ効率を上げる為だけにやっていたんでしょうけどね。


綺麗な景色として珍重されるようになった緋襷はやがて狙って焼かれるようになるんですよ。
今度は綺麗な緋襷がたくさん焼けるようにとサヤが生まれたんです。
サヤは棚が組めますので、甕などに入れて焼くよりも断然緋襷を取る効率は上がります。
偶然生まれた緋襷はサヤの登場によって備前焼の魅力ある景色としてより進化していったんですね。

良質の土を薪を使って焼き締めるという根本的な部分は変わっていませんが・・。
時代と共にちょっとずつ備前焼も変化してるんですよ。

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